薪ストーブ関連用語として使われる「ドラフト」とは、どのような現象をいうのだろうか。「煙突の引き」のことだよと言われるが、かえってわからなくなりますよね。煙突内で上昇気流がおこり、その結果、薪ストーブの吸気口から室内の新鮮空気を吸い込み、炉内の燃焼を促進させるという一連のプロセスのこと理解しておいてよいだろう。「ドラフト」の発生させかた、要因などについて経験に基づいて解説してみます。
煙突の適切な位置と高さが重要
適正なドラフトを起こさせるには、煙突のトップの位置と形状が肝となる。
煙突のトップの位置について
- 棟(屋根の一番高いところ)から60cm以上の高さに煙突トップがある
- 屋根面から90cm以上の高さに煙突トップがある
- 水平距離3mの屋根面より60cm以上の高さに煙突トップがある
- ストーブの上面から煙突トップまでの高さは、最低4.5m以上とする。必要以上には伸ばさない。
煙突の形状について
- できる限り二重煙突を使いたい。
- シングル煙突を使う場合は、室内で高さ2.4m以下にする。
- 煙突はまっすぐが理想
- やむを得ず横引きする場合は、横引き長さは1m以下にするのが望ましい。
煙突は単一排気とする
ストーブの煙突は、個々に専用の煙突を接続すること。兼用は不可。
タールが発生しないように運転する
適正なドラフトで運転することは、タールの発生を抑制することにつながる。
そのためには、
- 乾燥した薪を使う。
- ゆっくり燃焼させる、排ガスの濃度が高い、排気速度が遅い、排ガスが130℃以下に冷やされる、といった要因でタールは発生するので、そうならないように燃焼状態を管理する。
タールとは煙突内に蓄積される有機タールであり、一定温度以上に加熱されると煙道火災につながる。
煙道火災では煙突内部は1000℃を超え、もしシングル煙突なら真っ赤に熱せられ建物火災になる危険性も大きい。
そうならないよう、タールは極力つけない、付着したら掃除することが大切である。
バックパフィングとは?
バックパフィングとは、
ドラフトが弱く燃焼速度に合わせて煙を排出できない時に、
炉内で発生した煙の濃度と温度が一定の値に達した時に点火され、
あたかも小爆発がおこったようになり、
煙が空気取り込み口から逆流して出てくる現象のこと。
バックパフィングは、
春先など暖かい日に弱火で焚く、
極度に乾きすぎた薪を使う、
多量の薪をくべる
などが原因で発生する。
バックパフィングが起きた場合の対処法は、
エアーコントロールを全開にし、
空気をたくさん取り込み、
勢いよく燃えるようにする。
▼外国のバックパフィングの動画です。
文字説明よりわかりやすいかな?
これがバックパフィングというものです。
負圧にならないようにする
薪ストーブがある部屋が負圧になることが、良好なドラフトを阻害する要因となる。負圧にならないようにするには、どのようにすればよいのだろうか?
室内が負圧になる原因は?
* 住宅が高気密住宅になっている。
* 換気扇を使っている。
が考えられる。
室内の負圧対策の方法
- 高気密住宅の場合は、薪ストーブに外気導入アダプタをつけて、直接外気をとりこむ
- 着火時に窓をあける
- 着火時にレンジフード、衣類乾燥機、24時間換気のスイッチを切る
などが効果があるようだ。
まとめ
薪ストーブを安全に運転する上で、ドラフトの管理は重要ということですね。
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