薪の種類と特徴・燃え方の違いについて

薪の種類

薪ストーブの燃料は「薪」であるのは当然のことだが、これがまた奥深いのである。
ゆらめく炎を愉しむ薪ストーブライフを送るうえで、薪のことはよく知っておきたいもの。
そのうえで、薪の調達にはげんでもらいたい。
この記事がその手助けとなれば幸いである。

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薪の燃焼性能

木材の発する熱エネルギーの総量は
基本的に乾燥重量に比例するという大前提がある。

ということは、どんな樹種であっても、
炭素が燃えていて
重量あたりの燃焼効率はほぼ同じということです。

では、なぜ木の種類によって燃え方が違うのだろうか?

それは密度の違い、
含水率と含まれている樹脂の成分と量が違うからなのです。

樹皮の厚さも関係する。

体感的には、
軽い木ほど着火性は良いものの火保ちは良くない。

重い木は着火性は良くないが
熾火になって火保ち良いと感じられるのだ。

良い薪の条件とは?

・適度に乾燥していること。
・よく燃えて火力が強いこと。
・ススや煙の少ないもの。

薪は含水率(乾燥重量を100とした場合の水分量の比率、これをWBウエットベースという)を25%以下までに乾燥させないと、
煙ばかり出て、
水分が蒸発の熱を奪ってしまうので燃焼効率も悪くなる。

燃焼効率の良い含水率は15~20%とされるが、
そこまで乾燥させるには、
立木の伐採後、玉切り、薪割り、薪積み、雨よけできる薪棚に保管などの手間を経てやっと出来上がる。

その期間は半年から樹種によっては2年ちかくもかかるようだ。

立木の伐採時期も選ばなくてはいけない。

生木の含水率は季節によってかなりの差が出てくるのだ。

含水率40%から、樹種によっては150%になるものもある。

夏と冬では含水率がまるで違い、
晩秋から冬にかけてよく燃える木も、
たっぷり水を吸った夏場に伐った木はなかなか火がつかない。

林業家が主に活動する冬に山に入って木を伐るのは、
そういった理由もあるのだ。

虫もいなくて働きやすいというのもあるが。

薪の乾燥について、勘違いされていることもあります。

薪は乾燥していればいるほど良いのか?

乾燥にも程度というものがあって、
長期間薪棚に積んで乾燥しすぎた薪は逆に火力が弱くなります。

含水率が10%を切ると、
急激な熱分解による燃焼ガスの放出に酸素の供給が追いつかず、
不完全燃焼をおこして大量の煙やススを出してしまうのです。

このような乾燥しすぎた薪は、
あまり乾燥していない薪と組み合わせて使うと良く燃えるようになります。

針葉樹と広葉樹の薪としての性能の違い

針葉樹は割裂性の高いものが多く
一般的に薪割りは楽です。

樹脂が多く含まれ着火性もよい。

炎を上げてよく燃えるが、
煙と煤は多く、
熾き火(おきび)にならず
すぐ燃え尽きて灰になってしまうので火保ちが悪い。

派手な炎のわりに体の芯まで温まらず、直火料理に使うとヤニ臭くなる。

これに対して、
目の詰まった堅い広葉樹の薪は
あまり炎をあげて燃えることはないが、
ススもださず、
熾き火になって遠赤外線を放射しながら
ゆっくりと安定して燃える。

だから、料理の火にも暖をとるにも最適なのだ。

両者の長所を生かして、
焚き始めは火つきのよい針葉樹を使って、
炎が安定してきたら広葉樹の薪を投入するという方法をとるのが良いだろう。

代表的な針葉樹の燃焼性能

杉、モミ、ツガ

火つきはよいが、バチッと大きく火の粉がはぜることがある。煙が多くすぐ燃え尽きてしまう。

派手な炎を出してよく燃え、火力も強いが、火がはぜることがあり、ススも非常に多く、料理の時には使えない。また、不完全燃焼を起こしやすく、灰にならずに立ち消えすることがある。
エゾマツは針葉樹としては煙はすくないほうだ。

マキ、コウヤマキ

ススや煙を出さずよく燃える。

ヒノキの雑学

火を起こす木だからヒノキというのは江戸時代にうまれた迷信であり、古くは神殿などを作る「聖なる木」という意味だったという。

代表的な広葉樹の燃焼性能

クヌギ

火力は強く、ススや煙も少なく、ゆっくり燃えて熾火も長持ちする。
分厚いコルク状の樹皮を剥がしておけば火付もそれほど悪くはない。
葉は油を含み、生でも燃えるので焚き付けによい。

ナラ

バチバチと音をだしてよく燃える。とくにミズナラは火保ちがよく、煙もすくない。
樹皮をはがして小割にしておけば乾燥は早いが、ストーブ用の薪として、普通サイズで使う場合には、乾燥に2年近くかかる。
葉はクヌギ同様、生でもよく燃える。

ブナ

火力が強く、火保ちもよい。
ナラに比べ含水率がずっと低いので、生木でも短めに切って細かく割っておけばすぐに乾いて燃える。

クリ

耐水性や防腐性にすぐれているが、空気の供給がわるいと立ち消えしやすく、燃えてもバチバチ火がはぜる。
堅木にしては火力は弱く、薪としてはいまひとつ残念な評価。

樹木の燃焼特性表

「焚き火大全」という本の中に、樹木ごとの特徴や含水率・着火性・火力・煙のことについてくわしく説明されているので、ここで引用させていただく。

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樹種
比重
材の特性
含水率
着火性
火力
火持ち
針葉樹
メタセコイア
0.31
軽軟で割りやすい
辺材では高い
多い
悪い
サワラ
0.34
軽軟で割りやすい
辺材は高い
多い
悪い
スギ
0.37
寒冷地産は特に軽軟で割りやすい
辺材は高い
多い
悪い
トドマツ
0.40
軽軟だが人工林ではねじれて割りにくい
非常に高い
普通
悪い
ヒバ
0.41
軽軟で割りやすい
辺材は高い
多い
悪い
コウヤマキ
0.42
軽軟で割りやすい
辺材は高い
非常に少ない
悪い
エゾマツ
0.43
やや軽軟
辺材は高い
少ない
悪い
モミ
0.44
割りやすい
辺材は高い
非常に多い
悪い
ヒノキ
0.45
割りやすい
心材は非常に低い
多い
やや悪い
カラマツ
0.50
ねじれて割りにくい
低い
多い
悪い
ツガ
0.50
割りやすい
辺材は高い
多い
悪い
イチイ
0.51
割りやすい
心材は低い
多い
やや悪い
アカマツ
0.52
やや割りやすい
心材は低い
非常に多い   立ち消えしやすい
悪い
広葉樹
キリ
0.30
軽軟で割りやすい
普通
少ない
悪い
ヤナギ
0.42
軽軟で割りやすい
心材は非常に高い
多い
悪い
ホオ
0.48
割りやすい
普通
普通
普通
トチ
0.53
やや軽軟
心材は非常に高い
普通
普通
普通
クリ
0.57
やや硬い
普通
悪い
少ない       立ち消えしやすい
良い
サクラ
0.60
やや硬い
普通
少ない
良い
クワ
0.60
やや硬い
普通
普通
悪い
ブナ
0.63
やや硬い
低い
少ない
良い
シラカバ
0.64
やや硬い
高い
多い
悪い
タモ
0.65
やや重硬で割りにくい
低い
少ない
良い
コナラ
0.67
やや重硬
やや高い
少ない
良い
イタヤカエデ
0.67
やや重硬
普通
少ない
優秀
ミズナラ
0.68
やや重硬
やや高い
少ない
優秀
ケヤキ
0.69
重硬で割りにくい
普通
悪い
臭い
良い
カバ
0.69
重硬
普通
少ない
優秀
ダケカンバ
0.69
重硬
普通
少ない
優秀
アオダモ
0.71
重硬
低い
少ない
優秀
ミズメ
0.72
重硬で割りにくい
普通
少ない
優秀
カシ
0.83
重硬で割りにくい
やや高い
悪い
少ない
優秀
クヌギ
0.85
重硬で割りにくい
普通
悪い
少ない
優秀
竹類
タケ
0.3~0.4
硬いが割りやすい
高い
普通
悪い

樹木の燃焼によって発生する熱エネルギーの量は基本的に乾燥重量に比例する。
したがって比重の小さい軽い木より密度が大きくずっしりした重い木のほうが体積当たりの燃焼効率は優れている。
半面、硬く重い木ほど一般的に火つきは悪くなる。
しかし、着火性や体感的な火力、火勢、煙たさなどは、含水率や揮発成分の量と種類によって異なる。
したがって、焚き木としての評価はどうしても経済的、相対的なものになる。

引用元:焚き火大全

 

薪の燃焼の特性について、

グラフで視覚的に表現している記事もあったので、

参考にしてもらいたい。

薪ストーブに適した薪の樹種について

まとめ

乾燥して重い薪ほど火力があり長持ちする。
だけど、火つきは悪い。
この特徴を踏まえて、
薪ストーブでは針葉樹と広葉樹をうまく組み合わせて使うことが、
ストレスのない快適な薪ストーブライフを送る秘訣だろう。

▼こちらの記事もどうぞ▼
薪の含水率(WBとDBの違い)について

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